意味

労働基準法32条は、使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間、1日について8時間を超えて労働させてはならないと定めています。固定残業代は、これを超える時間外労働等の割増賃金を、一定時間分としてあらかじめ定額で支払う賃金の定め方を指す語です。

同法11条は、賃金を「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」と定めています。定額の手当で割増賃金を支払う形をとるときは、通常の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分が判別できることや、定めた時間を超えた分を精算することが求められるとされています。

最高裁2023年3月10日判決(最高裁判所第二小法廷)は、残業手当等の支払により労働基準法37条の割増賃金が支払われたものとした原審の判断に違法があるとされた事例です。裁判要旨は、賃金体系の変更に伴う変化について十分な説明がされたともうかがわれないことなどの事情を挙げています。内容は固定残業代が無効になる境目 ── 最高裁2023年3月10日判決(熊本総合運輸事件)で紹介しています。

会社が備えること

固定残業代は、会社の次の書類や手続に出てきます。

  • 労働条件の明示:同法15条は、労働契約の締結に際し、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めています。
  • 就業規則・賃金規程:手当の名称と金額、何時間分の割増賃金に当たるかを定める箇所です。
  • 給与計算:同法24条は、賃金を通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならないと定めています。定めた時間を超えた分の精算は、毎月の給与計算で扱います。
  • 社員への説明:賃金体系を変えるときの説明の内容と記録です。

時間数や金額を明示していない場合の扱いは、固定残業代を導入しています。何時間分か明示していないと無効になりますかで取り上げています。

関連する改正

出典