追加された明示事項

労働基準法施行規則等の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第39号)により、労働契約の締結時と有期労働契約の更新時に明示しなければならない事項が追加されました。労働条件の明示は労働基準法15条1項が定めるもので、明示すべき事項の内容は同法施行規則5条に置かれています。

追加されたのは、就業場所・従事すべき業務の「変更の範囲」、有期労働契約の更新上限の有無と内容、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件の3つです。対象は、労働者を雇用するすべての事業主です。パートタイム・有期雇用労働法が定める明示事項(昇給・退職手当・賞与の有無、相談窓口)とは別の定めであるため、両方を満たす様式にしておく必要があります。

変更の範囲の書き方

従来は雇入れ直後の就業場所と業務を明示すれば足りていました。2024年4月1日からは、将来の配置転換などによって変わり得る範囲もあわせて示します。この項目は、正社員・パートタイム労働者・有期雇用労働者を問わず、すべての労働契約の締結時に明示します。

「会社の定める事業所」「会社の定める業務」といった書き方をする場合でも、実際に異動させ得る範囲と一致している必要があります。転勤や職種変更を予定していない場合は、その旨を書くほうが後の争いを避けられます。

有期契約の更新上限

更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と、ある場合はその内容を、契約の締結時と更新のたびに明示します。更新上限を設けていない場合も、上限がないことを示します。契約期間中に更新上限を新たに設けたり短縮したりする場合には、その理由をあらかじめ説明することが求められます。

無期転換の明示

無期転換申込権が発生する有期労働契約の更新時には、無期転換を申し込むことができる旨と、無期転換後の労働条件を明示します。これも更新のたびに明示が要ります。通算5年を超える更新が近づいている契約については、無期転換後の職務の内容、勤務地、賃金、労働時間をどう定めるかを、あらかじめ社内で決めておきます。

通知書の様式と更新管理

厚生労働省がモデル労働条件通知書を公開しています。自社の様式に「変更の範囲」の欄があるか、有期の場合の更新上限と無期転換の欄があるかを確認し、欠けていれば差し替えます。入社時に使う様式と更新時に使う様式を、別に用意しておくと運用が楽になります。

有期契約は、始期、終期、通算期間、更新回数、更新上限の有無を一覧にし、無期転換申込権が発生する更新の時期を事前に把握します。更新のたびに明示が要る事項があるため、更新手続のチェックリストに組み込む形が実務的です。

出典