何が問題になるか
場面
課長以上の社員に管理職手当を払い、その代わりに残業代を払っていない会社があります。肩書があれば残業代は要らない、という前提の運用です。退職した社員からの請求や労働基準監督署の調査で、この前提が問われます。
法律の整理
残業代が要らないのは、労働基準法第41条の「管理監督者」に当たる社員だけです。判断は肩書ではなく実態で行われます。厚生労働省の通達と裁判例は、経営への関与、労働時間の裁量、待遇の3点を見ています。
肩書ではなく実態

管理監督者に当たる社員でも、深夜の割増賃金と年次有給休暇は適用されます。
深夜の割増賃金と年次有給休暇

管理監督者に当たらない場合は、管理職手当が固定残業代として有効かが問題になります。何時間分の残業に当たり、金額はいくらかを明示しているかが問われます。未払いがあれば、3年分を遡って払うことになります。
労働基準法第11条は、賃金を「名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」と定めています。手当の名前だけでは、何の対価かは決まりません。第13条は「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする」と定めています。
会社が備えること
確認すること
- 管理職手当を払っている社員の一覧と肩書
- 経営に関わる会議への参加や、人事・予算を決める権限があるか
- 出退勤の時刻を自分で決められるか
- 給与と手当を合わせた待遇が、一般の社員と比べて相応か
- 深夜の割増賃金を払い、年次有給休暇を与えているか
- 賃金規程で、管理職手当が何の対価と書かれているか
対応
店長・課長の職務と権限を棚卸しします。実態から管理監督者に当たらない社員については、管理職手当の位置づけを見直します。固定残業代として扱うなら、時間数と金額の明示が問題になります。この点は固定残業代を導入しています。何時間分か明示していないと無効になりますかで扱っています。
労働基準法第15条は、第1項で、使用者は「賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定めています。手当の見直しは、規程と労働条件の書面に反映します。
管理監督者として扱う社員にも、深夜の割増賃金と年次有給休暇の管理が要ります。退職者から請求が届いたときは退職した社員から未払い残業代の請求書が届きましたをご覧ください。
ご相談で伺うこと
- 管理職手当を払っている社員の人数と役職
- 就業規則・賃金規程・雇用契約書の該当箇所
- 対象の社員の勤務時間の記録と、出退勤の決め方
- 対象の社員が持つ人事・予算の権限
- 深夜勤務の有無と、その賃金の払い方
- 退職者からの請求や、労働基準監督署の調査の有無