何が変わったか
公表の内容
厚生労働省は、2025年8月7日に「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和6年)」を公表しました。令和6年に労働基準監督署が行った監督指導(立入調査)の結果をまとめたものです。是正事例と送検事例は、別紙「監督指導結果等」で公表されています。
取り扱った件数と金額
令和6年に全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案は、次のとおりです。
- 件数:22,354件(前年比1,005件増)
- 対象労働者数:185,197人(同3,294人増)
- 金額:172億1,113万円(同70億1,760万円増)
監督署の指導で支払われた分
上記のうち、令和6年中に監督署の指導により使用者が賃金を支払ったものは、次のとおりです。
- 件数:21,495件(96.2%)
- 対象労働者数:181,177人(97.8%)
- 金額:162億732万円(94.2%)
厚生労働省は、引き続き監督指導等を徹底するとしています。倒産により支払が難しい事案には、「賃金の支払の確保等に関する法律」(昭和51年法律第34号)に基づく未払賃金立替払制度を運用するとしています。
会社が備えること
賃金の支払の原則を確かめる
労働基準法第24条は、賃金を「通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定めています。同法第11条は、賃金を「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」としています。手当の名称にとらわれず、給与計算の項目を見直します。
労働時間の記録を見直す
同法第32条は、休憩時間を除き1週間について40時間、1日について8時間を超えて労働させてはならないと定めています。賃金計算の前提となる労働時間を、どのように記録しているかを点検します。残業の承認の仕組みや固定残業代を設けている会社には、次の記事も関係します。
労働時間の記録

退職者への支払を確かめる
同法第23条は、労働者の退職の場合に権利者の請求があったときは、7日以内に賃金を支払うと定めています。賃金に争いがある場合も、異議のない部分は同じ期間中に支払うとしています。関連する相談は、退職した社員から未払い残業代の請求書が届きましたで扱っています。
退職者への支払

注意点
数字の範囲
取り扱った件数等には、令和6年中に支払われず、翌年に繰り越した事案も含まれます。倒産や事業主の行方不明により、賃金が支払われなかった事案も含まれます。指導により支払われた分の数字には、不払賃金額の一部だけを支払ったものも含まれます。
公表資料の構成
報道発表の本文は、賃金不払事案全体の件数・対象労働者数・金額を示しています。是正事例と送検事例は別紙に載っています。自社の点検では、本文の数字とあわせて別紙の事例も確認します。
条文の文言
第24条には、法令や労使の書面による協定がある場合に、賃金の一部を控除して支払うことができるとするただし書があります。控除の扱いは、ただし書の文言で確かめます。