何が問題になるか
場面
外注した業務の納期が過ぎても、委託先から成果物が届かないことがあります。発注側では、自社の取引先への納品や社内の予定に影響が出ます。契約を解除して別の業者に頼めるか、かかった費用を委託先に請求できるかが問題になります。
法律の整理
納期の遅れは、債務の履行が遅れている状態(履行遅滞)です。相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がなければ、契約を解除できます。ただし、遅れが軽微なときは解除は認められません。
民法は、第541条で、「相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる」と定めています。同じ条のただし書は、期間を経過した時の不履行が「契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない」としています。
損害賠償は、遅れによって実際に生じた損害が対象です。代わりの業者を手配した費用などがこれに当たります。契約に賠償額の上限を定める条項があれば、その範囲になります。第545条は、第4項で、「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない」と定めています。
遅れの原因が、発注側の仕様変更や資料の提供の遅れにある場合は、解除や賠償が難しくなります。第543条は、不履行が「債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは」、契約の解除をすることができないと定めています。
遅れの原因を確かめる

会社が備えること
確認すること
- 契約書や発注書に書かれた納期と、成果物の内容
- 解除の条件や賠償額の上限を定める条項
- 仕様変更の依頼や資料の受渡しの日付が分かるメール・議事録
- 取引が取適法やフリーランス法の対象に当たるか
契約書が無いまま始めた取引は、契約書を交わさないまま取引を始めてしまいました。契約は成立していますかも参考にしてください。
対応
遅れの原因について、委託先とのやり取りの記録を時系列で整理します。発注側の事情が関わっていないかを先に確かめます。そのうえで、履行の期限を区切った催告を書面やメールで送ります。期間内に履行がなければ、解除の意思表示をします。代替手配の費用は、見積書や請求書を残して金額を示せるようにします。
期限を区切った催告

取引が取適法やフリーランス法の対象であれば、受領拒否や減額に当たらない形で対応します。納期の遅れを理由に成果物の受取りを断ったり、代金を差し引いたりする前に、その扱いを確認します。
ご相談で伺うこと
- 契約書・発注書の有無と、納期・解除・賠償の条項
- 遅れの期間と、委託先からの説明の内容
- 仕様変更や資料の提供の経緯
- 代替手配の有無と、かかった費用
- 委託先が個人か法人か、資本金や従業員の規模