適用される取引
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号)は、事業者間の業務委託のうち、受注する側が従業員を使用しない事業者である取引に適用されます。公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省の共同の説明資料が、この範囲を示しています。
法律は「特定受託事業者」を、業務委託の相手方である事業者であって従業員を使用しないものと定義しています(2条1項)。委託する側のうち、従業員を使用する事業者は「特定業務委託事業者」にあたり(2条6項)、より重い義務を負います。他の事業者に雇用されている個人が副業として受託する場合も、事業者として受託している以上は特定受託事業者にあたり得ます。
取引条件の明示と報酬の支払期日
業務委託をした場合には、給付の内容・報酬の額等を書面または電磁的方法により明示しなければなりません(3条)。この義務は、委託する側の規模を問いません。
特定業務委託事業者は、給付を受領した日から60日以内の報酬支払期日を設定して支払う必要があります(4条)。再委託の場合は、発注元から支払を受ける期日から30日以内です。締日と支払日の組合せが、この上限に収まっているかを確認します。
禁止されている行為
1か月以上の業務委託については、受領拒否、報酬の減額、返品、著しく低い報酬の額の不当な決定、購入・利用の強制が禁止されます。経済上の利益の提供をさせることと、不当な内容の変更・やり直しについては、それによって特定受託事業者の利益を不当に害してはならないものとされています(5条)。
就業環境の整備
募集情報の的確表示が求められます(12条)。6か月以上の業務委託については、育児介護等との両立への配慮が必要です(13条)。ハラスメント行為に係る相談対応等の体制整備も義務づけられています(14条)。6か月以上の業務委託を中途解除する場合は、原則として30日前までの予告が要ります(16条)。
違反したときの措置
公正取引委員会、中小企業庁長官または厚生労働大臣が、助言、指導、報告徴収、立入検査、勧告、公表、命令を行います。命令違反と検査拒否等には50万円以下の罰金の定めがあり、法人両罰規定もあります(24条・25条)。
発注先の洗い出し
個人に発注している取引を一覧にし、発注先ごとに従業員の有無と契約期間を書き出します。1か月以上か6か月以上かで、適用される規定が変わるためです。メールやチャットで発注している場合は、法定の記載事項を満たすテンプレートに統一します。委託先からのハラスメントの相談を受け付ける窓口も定めて周知します。