何が問題になるか

場面

裁判所から、社員の給与を対象とする債権差押命令が会社に届くことがあります。社員が判決などで決まったお金を支払っていないときに、債権者が申し立てる手続です。会社は社員に給与を払う立場にあるため、「第三債務者」として手続に関わります。給与計算の担当者は、何をいつまでにするかを知っておく必要があります。

法律の整理

会社は第三債務者として、差押えの範囲の金額を給与から控除し、債権者に支払う義務があります。範囲は手取りの4分の1が原則です。養育費等を請求する差押えでは、範囲が広くなります。

裁判所の案内によれば、裁判所は差押命令を「債務者と第三債務者に送達します」。そして「差押命令が第三債務者に送達されると、差押えの効力が生じます」。給料は「原則として相手方の給料の4分の1(月給で44万円を超える場合には、33万円を除いた金額)を差し押さえることができます」とされています。給料の差押えでは、養育費などの場合を除き、債務者への送達から4週間を過ぎると、債権者が自ら取り立てることができます。

会社は、送達を受けたら期限までに陳述書を裁判所に出します。放置すると、損害賠償の対象になり得ます。陳述の催告は「第三債務者に対して、差押債権の有無などにつき回答を求める申立て」と説明されています。

送達を受けた日と陳述書

裁判所から届いた封書を確認して期限までに回答書を作る給与担当者
会社は、送達を受けたら期限までに陳述書を裁判所に出します。

社員本人には、伝え方に配慮して告知します。差押えを理由とする不利益な取扱いは禁止されています。

複数の差押えが競合したときは、会社は供託します。供託をした場合は「裁判所が配当等を行うので、直接取り立てることはできません」とされています。

会社が備えること

確認すること

  • 差押命令に書かれた債務者が、在籍している社員かどうか。案内は「相手方が既に退職している場合などには、差押えはできません」としています。
  • 差押債権目録に書かれた範囲と、請求債権の額
  • 陳述催告書が同封されているか、提出の期限はいつか
  • ほかに差押えが届いていないか
  • 養育費等を請求する差押えかどうか

対応

  • 送達を受けた日を記録し、陳述書を期限までに提出します。
  • 次の給与から差押えの範囲の金額を控除して保留し、社員には残りを支払います。
  • 取立てを受けたら、保留した金額を債権者に支払います。
  • 差押えが競合したら、控除した金額を供託します。
  • 本人への告知は、個別の場所で事実と手続だけを伝え、知る人の範囲を限ります。
  • 人事評価や配置の判断に、差押えの事実を持ち込みません。

給与の一部を控除して保留する

給与の残りを社員に払い、差押えの範囲を別に保留する経理の場面
次の給与から差押えの範囲の金額を控除して保留し、社員には残りを支払います。

給与から差し引く場面の考え方は、遅刻・早退した分の給与を差し引いてよいですかも参考になります。

ご相談で伺うこと

  • 届いた書類一式(差押命令、陳述催告書など)と送達を受けた日
  • 社員の給与の額、支払日、控除している項目
  • ほかの差押えの有無と、届いた順番
  • 社員本人への説明の予定と、社内で知っている人の範囲

出典