何が問題になるか
場面
定年を迎える社員から、再雇用の希望が出ています。会社は、再雇用後の給与を定年前より下げ、担当する職務も変えたいと考えています。どこまで変えてよいのか、後から待遇差を争われないかというご相談です。
法律の整理
再雇用は新たな労働契約です。そのため、賃金や職務を定年前から変えることはできます。ただし、正社員との待遇差が不合理と判断されると、パートタイム・有期雇用労働法の不合理な待遇の禁止に違反します。職務内容を大きく変えるなら、その旨を再雇用契約で明確にし、賃金の説明ができる形にします。希望者全員を継続雇用する義務は、経過措置が終わり、例外なく適用されています。再雇用の条件は、この義務との関係もあわせて確認します。
厚生労働省は、同一労働同一賃金を、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の「不合理な待遇差の解消を目指すもの」と説明しています。パートタイム・有期雇用労働法は、2021年4月1日から全面施行されています。
最高裁令和5年7月20日判決は、定年退職後に再雇用された有期契約労働者と無期契約労働者との間で、基本給の金額が異なることが争われた事件です。判断されたのは、労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)の定めです。最高裁は、原審が「各基本給の性質やこれを支給することとされた目的を十分に踏まえることなく、また、労使交渉に関する事情を適切に考慮しないまま」相違の一部を不合理としたことについて、「同条の解釈適用を誤った違法がある」としました。基本給の性質ごとの検討が求められています。
会社が備えること
確認すること
- 定年前の職務の内容、責任の範囲、配置の変更の範囲
- 再雇用後に予定している職務の内容と、定年前との違い
- 基本給・賞与・各手当が、それぞれ何に対して支給されているか
- 就業規則・再雇用規程の定めと、労使交渉の経過
職務と責任の違いを確認

対応
- 定年前と再雇用後の職務の内容を書き出し、変わる点と変わらない点を分ける
- 基本給・賞与・手当ごとに、支給の性質と目的を文章にする
- 職務を大きく変える場合は、その内容を再雇用契約書に明記する
- 賃金の額について、本人に説明できる資料を用意する
- 希望者全員を継続雇用する制度になっているか、就業規則を確認する
賃金の理由を説明

ご相談で伺うこと
次の点を伺います。
- 定年の年齢と、再雇用制度の内容
- 再雇用する社員の、定年前の職務と賃金の内訳
- 再雇用後の職務・労働時間・賃金の案
- 就業規則、賃金規程、再雇用契約書のひな形
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