何が問題になるか

場面

原材料費や人件費が上がり、継続して取引している顧客に、サービス料金や商品価格の値上げを通知したいというご相談です。月額のサービス、保守契約、継続的な供給契約などで起こります。通知を送れば新しい価格が当然に適用されるのか、応じない顧客にどう対応するのかが問題になります。

法律の整理

契約で定めた価格は、相手の同意なく変えることはできません。契約書や約款に価格改定条項があれば、それに従います。改定の条件、予告期間、相手の解約権の定めを確かめます。

価格改定条項を確認する

価格の改定条件と予告期間を契約書で確認する担当者
改定の条件、予告期間、相手の解約権の定めを確かめます。

定型約款を使った取引では、扱いが異なります。定型約款の変更は、相手の利益に適合する場合か、変更が合理的で周知の手続を踏んだ場合には、個別の同意なく行えます。民法は、契約の章の総則に「契約の成立」「契約の効力」「契約の解除」と並べて「定型約款」の款を置いています。この規定は、その款の中にあります。

価格改定条項も定型約款もないときは、相手の合意を取って価格を変えます。改定の根拠として原価上昇の公表資料を示し、予告期間を置いて合意を求めます。応じない相手には、契約期間の満了の時に更新を拒絶することが選択肢になります。

消費者向けに値上げを表示するときは、表示の仕方にも注意が要ります。二重価格の表示や、有利誤認に当たる表示にならないかを確かめます。

会社が備えること

確認すること

  • 契約書・約款に価格改定条項があるか。あれば改定の条件、予告期間、解約権の定め
  • 使っている約款が定型約款に当たるか。変更の手続を約款に定めているか
  • 契約期間と更新の定め、更新拒絶の通知の期限
  • 原価上昇を示せる公表資料
  • 消費者向けの価格表示の内容

契約書の条項の読み方は、取引先から契約書のひな形を渡されました。どこを見て、どこを交渉すべきですかでも扱っています。

対応

価格改定条項があれば、定めた予告期間と手続に沿って通知します。定型約款を変更するときは、変更が相手の利益に適合するか、合理的かを検討し、周知の手続を踏みます。

条項がないときは、改定の根拠、新しい価格、適用を始める日を書面で示します。予告期間を置いて合意を求め、合意は書面やメールの記録で残します。応じない相手には、契約期間の満了での更新拒絶を検討します。

合意を求め記録を残す

値上げの根拠を相手に示し、合意の記録を残す場面
予告期間を置いて合意を求め、合意は書面やメールの記録で残します。

取引先との価格交渉の考え方は、労務費の転嫁交渉に関する公正取引委員会の指針のコラムも参考になります。

ご相談で伺うこと

  • 契約書・約款(価格の定め、改定条項、契約期間)
  • 取引の相手が事業者か消費者か
  • 値上げの幅と理由、適用を始める予定の日
  • 原価上昇を示す資料
  • 予定している通知文や価格表示の案

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出典