何が問題になるか
場面
2年前に納品した商品の代金を、取引先から受け取っていません。担当者の異動で請求が止まり、そのままになっていました。社内では「売掛金は2年で時効になる」と聞いたことがあります。もう請求できないのではないかと心配しています。未払いへの対応の全体は、取引先が代金を支払わないでも説明しています。
法律の整理
2020年4月1日以降の取引の債権の消滅時効は、権利を行使できることを知った時から5年です(民法第166条)。改正前にあった短期消滅時効(2年など)は廃止されました。改正後の取引の売掛金であれば、2年が過ぎたことだけで時効になるわけではありません。
時効が迫っているときは、次の方法で止めることができます。
- 催告をすると、6か月の間、時効の完成が猶予されます
- 協議を行う旨の合意を、書面ですることができます
- 訴訟の提起や支払督促をすると、時効が更新されます
また、相手が一部を支払ったときや、債務を認める書面を出したときも、時効は更新されます。
根拠となる改正は、「民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)」です。法務省は、この改正について「一部の規定を除き、令和2年(2020年)4月1日から施行されます」と案内しています。消滅時効の規定は、民法の「第三節 消滅時効」にまとめて置かれており、第166条がその最初の条文です。
会社が備えること
確認すること
- 取引(納品・役務の提供)がいつ行われたか
- 取引日が2020年4月1日より前のときは、扱いを個別に確認します
- 支払期日はいつで、会社がそれを知ったのはいつか
- これまでに請求書や督促を、いつ、どの方法で送ったか
- 相手が一部を支払ったり、債務を認める書面やメールを出したりしたことがあるか
- 契約書・発注書・納品書などの記録が残っているか
取引日・支払期日を確認する

対応
- 未収の売掛金を一覧にし、取引日・支払期日・最後に請求した日を記録します
- 期限が近い債権から、書面で請求します。内容証明郵便を使うと、送った日と内容が記録に残ります
- 相手から分割払いの申出があれば、債務を認める内容を書面で受け取ります
- 一部の入金があれば、その日付と金額を記録します
- 時効が迫っていて相手が応じないときは、訴訟や支払督促を検討します
- 請求の担当者と、時効の期限を点検する時期を社内で決めます
未収の売掛金を一覧にする

ご相談で伺うこと
- 取引の内容と時期、請求する金額
- 契約書・請求書・納品書など、残っている記録
- これまでの請求と、相手の返答の経過
- 一部の入金や、債務を認める書面の有無
- 相手の現在の経営状況について分かっていること