何が問題になるか
場面
取引先の元請から、「来期から単価を一律に下げてほしい」という通知が届きました。人件費や材料費は上がっていますが、協議の場は設けられていません。断れば取引を切られるのではないかと心配で、返事に迷っています。受注する側の事業者から、このようなご相談をいただきます。
法律の整理
取適法の対象取引では、協議に応じない一方的な代金決定や買いたたきは禁止されています。違反が疑われるときは、公正取引委員会・中小企業庁に申告できます。申告を理由とする不利益な取扱いも禁止されています。対象外の取引でも、独占禁止法の優越的地位の濫用になり得ます。
根拠は取適法第5条です。第5条は、第1項で、委託事業者がしてはならない行為を挙げています。その中に、「通常支払われる対価に比し著しく低い製造委託等代金の額を不当に定めること」があります。これがいわゆる買いたたきです。同じ項は、中小受託事業者が公正取引委員会などに違反の事実を知らせたことを理由に、「取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをすること」も禁じています。
第5条は、第2項で、中小受託事業者の利益を不当に害する行為を挙げています。その中に、費用の変動などで中小受託事業者が協議を求めたのに「当該協議に応じず」、または必要な説明や情報の提供をせずに、「一方的に製造委託等代金の額を決定すること」があります。
取適法の対象になるかは、第2条第8項・第9項の資本金の額や従業員の数の区分で決まります。公正取引委員会のウェブサイトには、インターネットによる申告の窓口と「買いたたきなどの違反行為が疑われる委託事業者に関する情報提供フォーム」が置かれています。
代金の協議

会社が備えること
確認すること
- 元請と自社の資本金の額、または常時使用する従業員の数
- 取引の内容が、製造・修理・情報成果物の作成・役務の提供・運送の委託のどれに当たるか
- 値下げの要請が、書面・メール・口頭のどれで、いつ届いたか
- 自社から代金の協議を求めたことがあるか、そのとき元請がどう対応したか
- 労務費・原材料費の上昇を示す資料が手元にあるか
対応
- 値下げの要請にすぐには応じず、代金の協議を書面やメールで求めます。
- 労務費・原材料費の上昇を、公表資料を根拠に示します。
- 協議の日時・出席者・やりとりの内容を記録し、保存します。
- 自社が発注する側の取引で、外注先に同じ要請をしていないかも点検します。
労務費の転嫁の進め方は、労務費の転嫁交渉は「発注側から」で取り上げています。
根拠を示し、協議を記録する

ご相談で伺うこと
- 双方の資本金の額・従業員の数と、取引の内容
- 値下げの要請の文面と、届いた時期
- これまでの協議の経過と、その記録
- 根拠として用意できる公表資料
- 自社が発注する側に立つ取引の有無