何が変わったか

景品表示法は、商品・サービスの品質や価格について消費者を誤認させる表示(優良誤認・有利誤認)を禁止しています。2024年10月1日施行の改正で、違反への対応が次のように変わりました。

  1. 確約手続の導入:消費者庁から違反の疑いを通知された事業者が、自ら是正措置計画を申請し、認定を受ければ、措置命令と課徴金納付命令を受けずに済む仕組みです。認定された計画の概要は公表されます。
  2. 課徴金の割増:課徴金納付命令を受けてから10年以内に再び違反した場合、課徴金の額が1.5倍になります。
  3. 直罰の新設:優良誤認・有利誤認表示をした者に、措置命令を経ずに100万円以下の罰金を科せるようになりました。
  4. 適格消費者団体への資料開示要請:適格消費者団体が、表示の裏付けとなる資料の開示を事業者に求められるようになりました。

課徴金は、違反した表示に関わる商品・サービスの売上額の3%です。売上額の推計規定も整備され、帳簿がない場合でも算定できるようになりました。

会社が備えること

改正の実務上の意味は、「指摘されてから直せばよい」が通用しにくくなったことです。確約手続は自主的な是正を促す制度ですが、繰り返せば課徴金が重くなり、悪質なものは刑事罰の対象になります。

備えの中心は、表示の根拠を残すことです。「No.1」「満足度98%」「業界最安」のような表示には、調査の条件(時期・対象・方法)が要ります。「〇〇に効く」「必ず痩せる」のような効果の表示には、合理的な根拠となる資料が要ります。表示を出す前に根拠資料を揃え、いつでも出せる状態で保存します。消費者庁は、根拠の提出を求めてから15日以内に提出がなければ、不当表示とみなすことができます(不実証広告規制)。

次に、作る人と確認する人を分けることです。広告・ウェブ・SNS・店頭POP・チラシは、作る部署が別々になりがちですが、確認の窓口は一つにし、公開前に根拠の有無と表現の適否を見る手順を決めます。

広告を出す前に、表示と根拠を照合する

広告案と、その商品の試験・調査資料を机に並べる作成担当者。確認担当者が広告の表現と根拠資料を左右に並べ、内容が対応しているか照合する。公開する広告と根拠資料を一組で保管し、後から確認できる状態にする担当者。

表示案と根拠をそろえる

広告案だけでなく、試験結果や調査条件も用意します。

別の担当者が照合する

表現の内容と、根拠が裏付ける範囲を見比べます。

確認した表示と根拠を残す

公開後も根拠を確認できるよう、記録を保管します。

図は、表示を適切に管理するための社内手順の一例です。担当者の確認や資料の保管だけで適法になるわけではなく、表示と根拠が対応しているか、条件を含めて点検します。管理体制は会社の規模や業務に応じて決めます。 公的資料で確認

注意点

比較広告、二重価格表示(「通常価格〇円のところ今なら〇円」)、打消し表示(小さな注記で条件を示す方法)には、それぞれ消費者庁のガイドラインがあります。自社の表示の型に合わせて確認します。

SNSでのインフルエンサー起用や口コミの掲載は、2023年10月から施行されているステルスマーケティング規制の対象にもなります。景品表示法の表示規制は、媒体を問わず適用されます。

指摘を受けたときは、確約手続を使うかどうかを早期に判断する必要があります。手続には期限があり、対応が遅れると措置命令に進みます。

改正は表示を萎縮させるためのものではなく、根拠のある表示であれば従来どおり行えます。問題になるのは、根拠がない、または根拠の条件を伏せた表示です。年に一度、自社の主要な広告・ウェブページを一覧にし、根拠資料の所在と作成日を突き合わせる点検を習慣にすると、担当者が代わっても対応が途切れません。

出典