何が問題になるか
場面
社員の無断欠勤が続いた、取引先とトラブルを起こした、同僚に不適切な言動をした。こうした場面で、会社が懲戒処分を検討することがあります。処分の重さだけを先に決めると、後で処分の効力が争われたときに説明できない部分が残ります。SNS投稿が問題になった場面は、社員のSNS投稿が炎上しました。会社として何をすべきですかもご覧ください。
法律の整理
懲戒をするには、就業規則に懲戒の種類と事由が定められ、それが社員に周知されていることが前提です。これは、労働契約法の第15条と最高裁の考え方によるものです。そのうえで、事実の調査、本人への弁明の機会、処分の相当性の確認、就業規則に定めた手続(賞罰委員会等)を踏みます。相当性では、過去の処分との均衡をとり、同じ行為を二重に処分しないことが求められます。
労働契約法は、第15条で、「使用者が労働者を懲戒することができる場合において」、その懲戒が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」と定めています。
減給の制裁は、1回の額が平均賃金の1日分の半額以内、総額が賃金総額の10分の1以内でなければなりません。労働基準法は、第91条で、就業規則で減給の制裁を定める場合、その減給は「一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」と定めています。遅刻・早退の時間分の扱いは、遅刻・早退した分の給与を差し引いてよいですかで扱っています。
処分を社内に公表するときは必要最小限にとどめ、氏名の公表は原則として避けます。
事実の調査と弁明の機会

会社が備えること
確認すること
- 就業規則に、懲戒の種類と懲戒の事由が書かれているか
- その就業規則を、社員がいつでも見られる状態にしているか
- 問題の行為が、就業規則のどの事由に当たるか
- 過去の同じような行為にどの処分をしたか、同じ行為をすでに処分していないか
- 賞罰委員会の開催など、就業規則に定めた手続があるか
対応
- 関係者の聴き取りや記録の確認で事実を調べ、書面に残す
- 本人に調査した事実を示して弁明の機会を設け、言い分を記録する
- 懲戒事由への当てはめと、過去の処分との均衡を確かめて処分を選ぶ
- 減給にするときは、平均賃金をもとに上限の範囲内か計算する
- 就業規則に定めた賞罰委員会などの手続を省かずに行う
- 社内への公表は必要最小限にし、氏名は原則として出さない
過去の処分との均衡を確かめる

ご相談で伺うこと
- 問題となった行為の内容と、分かった経緯
- 就業規則の懲戒の定めと、社員への周知の方法
- 調査の状況と、本人の言い分
- 過去の懲戒処分の内容
- 検討している処分の種類と、社内への公表の予定