何が問題になるか
場面
社員が個人のSNSに投稿した内容が拡散し、会社名とともに批判が集まることがあります。投稿の中身は、職場の内部事情、取引先や顧客への不満、不適切な画像などさまざまです。会社には問い合わせや苦情が届き、対応の判断を急がれます。本人を処分すべきか、会社として謝罪すべきかで迷う場面です。
法律の整理
初動は、投稿の保全、事実確認、削除の要請です。投稿はスクリーンショットで保全し、本人から事情をヒアリングします。そのうえで削除を求めます。会社の公式見解は、事実確認を終えてから出します。
懲戒は、就業規則の根拠と、投稿の内容で相当性を判断します。投稿の内容とは、業務との関連、信用毀損の程度、私的な発言かどうかです。私生活上の投稿への懲戒は、限定的に考える必要があります。
労働契約法第15条は、懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」と定めています。また、同法第7条は、使用者が「合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合」に、労働契約の内容はその就業規則によるとしています。懲戒の根拠を就業規則に置き、社員に周知しておくことが前提になります。
一方で、会社自身が損害賠償責任を問われる場面もあります。業務として行った投稿や、顧客情報の漏えいを伴う投稿がこれに当たります。
会社が備えること
確認すること
- 投稿の日時・内容・アカウントと、拡散の状況
- 投稿が業務中のものか、業務に関係する内容か
- 顧客情報や社内の情報が含まれているか
- 就業規則に、懲戒の種別と事由が定められているか
- SNSの利用について、社内ルールや研修があったか
投稿の状況を確認

対応
- 投稿と拡散の状況をスクリーンショットで保全する
- 本人から、投稿の経緯と事実関係をヒアリングする
- 本人に投稿の削除を要請する
- 事実確認を終えてから、会社の公式見解を出す
- 就業規則の懲戒事由と投稿の内容を照らし、処分の相当性を検討する
- 再発防止として、SNSガイドラインを整備し、研修を行う
厚生労働省の資料は、「常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならない」としています。就業規則を変更する場合も、同様に届出が必要です。SNSの利用に関する規定を就業規則に加えるときは、この手続も確認します。
保全して本人に確認

ご相談で伺うこと
- 投稿の内容と、保全した記録
- 本人へのヒアリングの結果
- 就業規則の懲戒の規定と、SNSに関する社内ルール
- 顧客や取引先からの連絡の有無
- 会社として公表する予定の内容