何が問題になるか

場面

経営方針や業務の進め方をめぐって、任期の途中の取締役に退いてもらいたいというご相談があります。本人が辞任に応じない場合、会社は株主総会で解任するかどうかを決めます。解任そのものはできても、後から損害賠償を求められることがあります。手続と金銭面の両方を、決議の前に整理しておく必要があります。

株主総会の決議と損害賠償

株主総会の決議と、残りの任期の報酬の資料を別々に確認する場面。
手続と金銭面の両方を、決議の前に整理しておく必要があります。

法律の整理

結論から書きます。取締役は、株主総会の普通決議で、いつでも解任できます。ただし、正当な理由がない解任は、残りの任期の報酬に相当する額の損害賠償の対象になります。

「正当な理由」にあたるのは、職務の執行で法令や定款に違反したこと、心身の故障、職務を行う能力が著しく欠けていることなどです。経営方針の対立だけでは、正当な理由とは認められにくいです。

根拠は会社法(平成17年法律第86号)です。会社法は、第2編第4章第3節「役員及び会計監査人の選任及び解任」の中に「解任」の款を設け、第339条と第340条を置いています。第339条は、第1項で、株主総会の決議によって取締役を解任できることを定めています。第2項で、正当な理由なく解任された者が、会社に損害の賠償を請求できることを定めています。

会社が備えること

確認すること

  • 定款で、解任の決議の要件を変えていないか
  • 解任の理由を示す事実と、それを裏づける記録(議事録、メール、報告書など)
  • 残りの任期と、現在の報酬の額
  • 株主総会を招集する手続と、招集の通知を出す時期

対応

解任は、株主総会の議題として、招集の手続を踏んだうえで決議します。招集の手続は、会社法と定款に沿って進めます。決議の前に、解任の理由が正当な理由にあたるかを、記録と照らして確かめます。正当な理由が弱いときは、残りの任期の報酬に相当する額の負担を見込んでおきます。

解任の理由を記録と照らす

担当者が解任の理由と議事録や報告書を照合する場面。
決議の前に、解任の理由が正当な理由にあたるかを、記録と照らして確かめます。

解任の決議の後は、変更の登記を申請します。登記には期限があるため、決議の日から逆算して書類を準備します。

いきなり解任せず、本人に辞任を促す方法もあります。その場合は、退職慰労金を支払うか、支払うならいくらにするかを話し合います。合意した内容は、辞任の合意書に書いておきます。

代表取締役を交代させるときは、新しい代表取締役の住所も登記に載ります。住所の扱いは登記簿から代表取締役の住所を隠せるようになりましたをご覧ください。

ご相談で伺うこと

  • 解任を考えている取締役の任期と報酬の額
  • 解任を考えるに至った経緯と、それを示す資料
  • 株主の構成と、株主総会で決議が見込めるか
  • 本人と辞任について話をしたかどうか
  • 定款と、直近の登記事項証明書

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出典