何が問題になるか
場面
店舗や窓口で、同じ顧客が暴言や長時間の居座りを繰り返しています。従業員が対応に疲れ、取引をやめたいという声が社内で出ています。新しい注文を断るのか、続いている契約を打ち切るのかで、確認することが変わります。
法律の整理
契約自由の原則により、新規の取引を断ること自体はできます。ただし、継続的契約の場合と、法律上の応諾義務がある業種は別に考えます。また、差別的な理由で取引を拒むと、不法行為になり得ます。
継続中の契約を打ち切るときは、約款や契約書の解除事由と、相当な予告期間を確認します。民法第1条は、第2項で「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」と定め、第3項で「権利の濫用は、これを許さない。」と定めています。
暴言・居座り・過度な要求は、カスタマーハラスメントとして記録します。労働施策総合推進法等の一部を改正する法律(令和7年法律第63号)により、カスタマーハラスメントの「防止措置が事業主の義務となります」とされています。施行日は2026年10月1日です。指針は令和8年厚生労働省告示第51号として公布されました。この措置義務は従業員を守るためのものです。詳しくはカスタマーハラスメント対策が事業主の義務になりますで整理しています。
退去を求めても顧客が応じない場合は、不退去罪として警察への通報を検討します。
新しい取引か、継続中の契約か

会社が備えること
確認すること
- 新しい取引を断るのか、継続中の契約を終わらせるのか
- 自社の業種に、法律上の応諾義務がないか
- 約款や契約書に、解除事由と予告期間の定めがあるか
- 暴言・居座り・過度な要求の日時と内容を記録しているか
- 断る理由が、国籍や性別などの属性によるものでないか
対応
- 迷惑行為の日時・場所・言動・対応した従業員を、その都度記録します。
- 新規の取引を断るときは、理由が属性による差別でないことを社内で確かめます。
- 継続中の契約は、解除事由と予告期間を確認したうえで、書面で通知します。
- 措置義務と合わせて、カスタマーハラスメントへの対応方針を文書にし、従業員に周知します。
- 退去を求めても応じないときに、誰が退去を求め、どの時点で警察に通報するかを決めておきます。
- 取引を断る条項の見直しでは、契約書の反社会的勢力排除条項は、なぜ入れるのですかも参考になります。
迷惑行為を記録する

ご相談で伺うこと
- 業種と、顧客との取引の形(単発か継続か)を伺います。
- 使っている約款や契約書の内容を伺います。
- 迷惑行為の記録と、これまでの対応の経過を伺います。
- 従業員の被害の状況と、社内の相談体制を伺います。