何が問題になるか

場面

採用内定を出した後で、取り消したいと考える場面があります。経歴に偽りが見つかった、卒業できなかった、健康状態が大きく変わった、業績が悪化して採用を減らしたい、などの事情です。入社前なので会社の判断で取り消せると受け止められがちですが、法律上はそうなりません。

法律の整理

内定通知によって、入社日を始期とし、解約権を留保した労働契約が成立しています。そのため、内定の取消しは解雇に当たります。最高裁の考え方では、取消しが認められるのは、内定のときに知り得なかった事実を理由とし、取消しが客観的に合理的で社会通念上相当と認められる場合に限られます。

内定取消しは解雇に当たる

内定通知と取消しの理由の資料を慎重に確認する担当者
そのため、内定の取消しは解雇に当たります。

労働契約法は、第6条で、労働契約は、労働と賃金の支払について労働者と使用者が「合意することによって成立する」と定めています。また、第16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。

取消しの理由として典型的なのは、経歴詐称、卒業できなかったこと、健康状態の重大な変化です。業績の悪化を理由とする取消しは、整理解雇に準じた要件で判断されます。

新卒者の内定を取り消すときは、ハローワークへの通知が必要です。企業名の公表の対象になり得ます。厚生労働省は、新卒者の「採用内定取消し等の状況」を公表しています。

会社が備えること

確認すること

  • 内定通知書や誓約書に、取消しの事由をどう書いているか
  • 取消しの理由が、内定のときに知り得なかった事実か
  • 経歴や卒業見込み、健康状態を、内定時にどこまで確認していたか
  • 業績悪化が理由なら、取消しを避ける手立てを検討したか
  • 求人票の内容と内定時の条件に食い違いがないか(求人情報には「的確な表示」の義務があります)

対応

取消しを決める前に、理由となる事実を書面や資料で確かめます。本人に事情を説明し、言い分を聞く機会を設けます。業績悪化が理由のときは、取消しより先に、内定辞退を求める方法を検討します。辞退を求めるときは、本人の判断に委ね、辞退を強いる言い方は避けます。あわせて、内定者への補償の内容と金額を検討します。新卒者の場合は、ハローワークへの通知を忘れずに行います。入社後の扱いは、試用期間中の社員を本採用しないことはできますかにまとめています。

言い分を聞く機会を設ける

取消しを決める前に、担当者が本人の事情を資料とともに聞く場面
本人に事情を説明し、言い分を聞く機会を設けます。

ご相談で伺うこと

  • 内定を出した時期と方法、内定通知書や誓約書の内容
  • 取り消したい理由と、それを知った時期・経緯
  • 新卒か中途か、入社予定日
  • 内定者とのやり取りの記録
  • 業績悪化が理由の場合は、経営の状況と採用計画

関連する法改正コラム

出典