何が問題になるか
場面
社員が連絡なく出勤しなくなりました。電話にもメールにも応答がない状態が続いています。机の私物はそのままで、本人が辞めるつもりなのかもわかりません。会社としては、退職したものとして扱ってよいのかを知りたい場面です。
法律の整理
無断欠勤が続いていても、それだけでは本人が退職の意思を示したことにはなりません。そのため、就業規則に「一定期間の無断欠勤を退職事由または懲戒解雇事由とする」定めがあるかを確認します。
解雇には、労働契約法の制限があります。同法第16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。懲戒解雇については、同法第15条が、相当と認められない懲戒を「その権利を濫用したもの」として無効としています。
解雇とする場合は、30日前の予告または予告手当が原則として必要です。労働基準法第20条は、第1項で、「少くとも三十日前にその予告をしなければならない」とし、「三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない」と定めています。
本人の所在がわからず、解雇の通知が届かないときは、公示送達の方法があります。
無断欠勤だけでは退職の意思にならない

会社が備えること
確認すること
- 就業規則に、一定期間の無断欠勤を退職事由とする定めがあるか
- 同じく、懲戒解雇事由とする定めがあるか
- 欠勤が始まった日と、それまでの連絡の経過
- 入社時の書類にある緊急連絡先と身元保証人
身元保証人の位置づけは、入社時の身元保証書は、いまも意味がありますかで扱っています。
対応
- 本人の携帯電話・メール・自宅への連絡を試み、日時と方法を記録する
- 緊急連絡先と身元保証人に連絡し、やりとりを記録する
- 内容証明郵便で出勤を求める催告を送り、控えを保管する
- 安否が心配なときは、警察への相談も選択肢にする
- 退職日が決まったら、離職票と社会保険の資格喪失の手続の時期を確認する
催告書には、出勤を求める期限と、応じない場合は就業規則に沿って扱うことを書きます。連絡と催告の記録は、後で扱いの当否が問われたときに、会社が連絡を尽くしたことを示す資料になります。離職票と資格喪失の届出は、退職日を起点に進みます。退職日がはっきりしないまま手続を進めないようにします。
連絡と催告の記録を残す

ご相談で伺うこと
- 就業規則の該当条文と、社員への周知の方法
- 欠勤が始まった日と、これまでの連絡の記録
- 本人の住所・緊急連絡先・身元保証人の情報
- 未払いの賃金や貸与品の有無
- 退職扱いと解雇のどちらで進める予定か