こんな場面
従業員から、上司の言動がパワーハラスメントにあたるとして相談を受けた。同僚からの性的な発言を訴えるメールが、人事の担当者に届いた。育児休業の取得を申し出たところ、上司から取得をやめるよう言われたという申告があった。社内で誰が、どの順で対応するかが決まっていないときの整理です。
まず確認すること
- 相談を受けた日時・相談者・受けた担当者と、相談の内容の記録
- 社内の相談窓口と、ハラスメントについての方針・就業規則の定め
- 相談者と行為者とされる者の関係(上司と部下か、同じ部署か)
- 相談者が、会社にどのような対応を求めているか
法律の整理
労働施策総合推進法第30条の2第1項は、事業主に対し、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより労働者の就業環境が害されることのないよう、相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じることを求めています。男女雇用機会均等法第11条は職場における性的な言動について、育児・介護休業法第25条は育児休業等に関する言動について、同じ形の措置を定めています。3つの条文とも、その第2項で、相談を行ったことや、相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁じています。
各指針は、相談の申出があった場合の措置として、事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること、事実が確認できた場合に被害者に対する配慮のための措置と行為者に対する措置を適正に行うこと、再発防止に向けた措置を講ずることを挙げています。2026年10月1日から適用される指針は、パワーハラスメントの措置の規定を「法第31条」として引いています。
会社が最初にすること
相談を受けた担当者が内容を記録し、相談者に今後の流れと、相談したことを理由に不利益な取扱いをしないことを伝えます。事実関係の確認は相談者と行為者とされる者の双方から行い、主張が食い違う場合は第三者からも聴き取ります。聴き取る相手は必要な人に限り、内容を知る人を増やさないようにします。確認が終わるまでの間、双方の席や業務を離す必要があるかも検討します。
ご相談で伺うこと
- 相談の内容と、相談を受けてからの対応の経過
- 相談者と行為者とされる者の立場・所属
- 社内の相談窓口・方針・就業規則の定め
- 確認のための聴き取りを、誰が行う予定か
関連する法改正コラム
出典
- e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」
- e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」
- e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
- 厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)」(PDF)
- 厚生労働省「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号)」(PDF)
- 厚生労働省「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針(平成21年厚生労働省告示第509号)(抄)」(PDF)