何が義務になるのか

2025年6月11日に公布された改正法(令和7年法律第63号)により、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)に、求職活動等における性的な言動に起因する問題についての規定が加わりました。施行日は2026年10月1日です。

講ずべき措置の内容は、厚生労働省の指針(令和8年厚生労働省告示第52号「事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」)に示されています。すでに義務となっている職場でのセクシュアルハラスメントの措置義務(同法11条)と同じ枠組みで、方針の明確化と周知・啓発、相談に応じる体制の整備、相談を受けた後の事実確認と適正な対処、プライバシーの保護と不利益取扱いの禁止の周知が挙げられています。

同じ改正法では、カスタマーハラスメントについての措置義務も2026年10月1日から始まります。どちらも同じ日に施行されるため、就業規則と社内手順の改定は一度にまとめて進められます。

対象となる「求職者等」

保護の対象は、その会社に雇用されている労働者ではなく、採用の過程で接する相手です。厚生労働省の資料では、就職活動中の学生、インターンシップの参加者、教育実習生などが想定されています。企業規模による適用の猶予は設けられていません。

採用の場面で決めること

行為者になり得るのは、面接の担当者だけではありません。会社の説明会に出る社員、リクルーターとして学生と個別に会う社員、インターンシップで指導にあたる社員が含まれます。誰が求職者と接するのかを一覧にして、周知の対象を決めます。

面接や面談を行う場所と時間帯、社員と求職者が1対1になる場面の扱い、社外での会食や個人的な連絡先の交換の可否を、あらかじめ決めておきます。指針が求めているのは方針の明確化であり、具体の線を引いておかないと現場が判断できません。

相談窓口と記録

相談を受け付ける窓口を定め、求職者にも分かる形で知らせます。募集要項や採用ページに窓口の連絡先を載せる方法が考えられます。担当者が使う記録様式には、日時、相手方、言動の内容、対応者、引き継いだ先を入れます。

相談したことを理由に採用の選考で不利益な取扱いをしないという点も、指針が挙げる項目に含まれます。選考の担当者と相談の担当者を分けておくと、この点の説明がしやすくなります。

就業規則と周知

求職者等へのセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨と、行為者に懲戒の規定が適用される旨を、就業規則または社内規程に書きます。そのうえで、採用に関わる社員に周知します。施行日の前に、規程の改定と周知を終えておく必要があります。

出典