何が問題になるか
場面
社員から、上司の言動がパワハラではないかと相談がありました。担当者は、誰からどの順で話を聞くか、調査中に当事者をどう扱うかで迷っています。進め方を誤ると、相談者の負担が増え、職場の対立も深まります。
法律の整理
相談を受けた後、会社は事実関係を迅速かつ正確に確認しなければなりません。これは指針上の義務です。聴取は相談者、行為者、第三者の順に行い、記録を残します。聴取する者は、当事者と利害のない者にします。
調査中の席の分離や接触制限は、相談者に不利益にならない形で行います。ハラスメントと認定できたときは、行為者への懲戒や配置転換、相談者への配慮、再発防止を行います。認定できないときも、相談者への説明と職場環境の改善が必要です。相談したことを理由とする不利益取扱いは禁止されています。
根拠は、厚生労働省の指針(令和2年厚生労働省告示第5号)です。指針は、相談の申出があったときの措置として、「事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること」を挙げます。例として「相談者及び行為者の双方から事実関係を確認すること」を示し、主張が一致しない場合は「第三者からも事実関係を聴取する等の措置を講ずること」としています。
事実が確認できた場合は、「被害者と行為者を引き離すための配置転換」や「行為者に対して必要な懲戒その他の措置を講ずること」を例に挙げます。再発防止の措置は、「事実が確認できなかった場合においても、同様の措置を講ずること」とされています。
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第30条の2は、第2項で、相談したこと等を理由とする不利益な取扱いを禁じています。指針も、「解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること」を求めています。
会社が備えること
確認すること
- 事実確認を担う者が決まっているか
- 相談者が何を求めているか
- 相談の内容を、日時・場所・言動・目撃者ごとに記録しているか
- 就業規則に、行為者への懲戒規定があるか
出来事を整理する

対応
- 当事者と利害のない者を、聴取の担当に決める
- 相談者、行為者、第三者の順に聴取し、そのつど記録を作る
- 席の分離や接触制限は、相談者の配置や業務を不利益に変えない形で行う
- 調査の結果と今後の対応を、相談者に説明する
- 相談や調査への協力を理由に不利益な扱いをしない旨を、改めて周知する
相談窓口の担当者の決め方は、ハラスメントの相談窓口は、社長が兼ねてもよいですかで説明しています。
当事者は別々に聴取

ご相談で伺うこと
- 相談の内容と、相談を受けた日
- 相談者と行為者の職務上の関係
- これまでの聴取と記録の有無
- 懲戒規定を含む就業規則
- 相談者の希望と心身の状況