何が問題になるか
場面
取引先から、会社あてに内容証明郵便が届きました。代金の支払いを求める内容で、期限までに支払わなければ契約を解除すると書かれています。期限を過ぎた場合は法的手続をとる、とも書かれています。差出人の欄には、相手方の代理人として弁護士の名前があります。社内では、返事をするべきか、様子を見るべきかで意見が分かれています。
法律の整理
内容証明郵便は、「その内容の手紙を送った」ことの証明です。それ自体に法的効力はありません。届いただけで、書かれた請求が認められるわけではありません。
ただし、内容証明郵便は、期限を切った請求・催告や、解除の通知として使われます。放置すると、訴訟の準備や、催告による時効の完成猶予(民法第150条・催告から6か月)の材料になります。対応としては、期限内に回答するか、回答しない判断を記録します。反論があるなら書面で残し、安易な謝罪・支払約束は避けます。弁護士名で届いている場合は、相手方が本気であるサインです。
郵便法第4条は、第2項で、信書を「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と定めています。請求や解除の意思は、このような文書で相手方から伝えられます。
民法は、「第四款 契約の解除」(第540条から第548条まで)で解除の規律を置いています。時効についても「第七章 時効」に定めがあります。また、民法第1条は、第2項で、「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」と定めています。書面でのやり取りは、後から経過を確かめる資料になります。
会社が備えること
確認すること
書面を読み、次の点を確かめます。
- 記載された期限:いつまでに、何をするよう求めているか
- 請求の内容:代金の支払い、商品の引渡し、契約の解除など
- 請求の根拠:どの契約・どの取引に基づくと書かれているか
- 差出人:会社名だけか、弁護士名で届いているか
- 受け取った日:書面が会社に届いた日と、受け取った人
- 事実関係:社内の記録や契約書の条項と、書面の記載が合っているか
請求と契約を照合

対応
- 書面と封筒を保管し、受け取った日を記録します。
- 期限・請求内容・根拠を確認し、事実関係と契約書を照合します。
- 期限内に回答するかどうかを決めます。回答しない場合も、その判断と理由を社内で記録します。
- 反論があるなら、書面で残します。電話や口頭だけで済ませないようにします。
- 担当者の判断で、謝罪や支払いの約束をしません。安易な謝罪・支払約束は避けます。
- 社内の窓口を1人に決め、相手方への連絡を1本にします。
- 弁護士名で届いている場合は、早期に弁護士へ相談します。
封筒も含めて保管

ご相談で伺うこと
- 届いた内容証明郵便と封筒
- 取引の契約書・発注書・請求書
- これまでのやり取り(メール・議事録など)
- 会社として認める点と、争いたい点
- 回答の期限と、社内で検討できる日数
- 相手方との今後の取引の見込み