何が問題になるか
場面
従業員が数人の会社で、ハラスメントの相談窓口を置くことになりました。人事の担当者がおらず、社長が自ら相談を受けようと考えています。社長が窓口を兼ねてよいか、ほかに何を整えるべきかというご相談です。
法律の整理
指針上、相談窓口は、あらかじめ定めて労働者に周知することが要件です。担当者は社長でもかまいません。ただし、相談する人の心理的な安全と公正さの観点から、複数の窓口や外部の窓口を併せて置くことが望ましいといえます。また、従業員が数人の会社でも、この義務は同じです。
根拠は、労働施策総合推進法第30条の2と、これに基づくパワハラ防止指針(令和2年厚生労働省告示第5号)です。指針は、相談窓口を「あらかじめ定め、労働者に周知すること」を求めています。定めていると認められる例として、「相談に対応する担当者をあらかじめ定めること」や「外部の機関に相談への対応を委託すること」を挙げています。
相談を受けた後は、事実関係を「迅速かつ正確に確認すること」が求められます。指針は、相談者と行為者の双方から事実関係を確認する例を示しています。事実が確認できた場合は、被害者への配慮と行為者への措置を行います。事実が確認できなかった場合も、再発防止の措置を講じます。
あわせて、相談者・行為者等の「プライバシーを保護するために必要な措置」を講じ、その旨を周知します。さらに、相談をしたことなどを理由として「解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め」、労働者に周知・啓発することも求められています。
会社が備えること
確認すること
- 相談窓口を決めて、従業員に知らせているか
- 窓口の担当者と、相談の方法(面談・メールなど)が決まっているか
- 社長や役員が行為者とされた場合の相談先があるか
- 相談を受けた後の手順と、記録の方法が決まっているか
- 就業規則などに、プライバシーの保護と不利益な取扱いの禁止が書かれているか
別の相談先も確認

対応
- 相談窓口の担当者を決め、社内の掲示やメールで周知します。
- 社長が窓口を兼ねる場合は、別の役員や外部の窓口など、別の相談先を併せて置きます。
- 相談を受けたときの記録の様式と、事実確認・双方への対応・再発防止の手順を文書にします。
- 相談者・行為者のプライバシーの保護と、相談を理由とする不利益な取扱いの禁止を就業規則などに定め、周知します。
窓口と手順を知らせる

ご相談で伺うこと
- 従業員の人数と、役員・管理職の構成
- 今の相談窓口の有無と、周知の方法
- 就業規則にハラスメントの規定があるか
- 外部の窓口を置くことを考えているか