何が問題になるか

場面

自社が納めた商品や成果物について、取引先から「不具合がある」と連絡を受けることがあります。返品や交換に加えて、損害賠償まで求められる場面です。先方の求めに応じるか、断るかを、その場で決める必要はありません。負う責任の範囲は、不具合の原因と契約の内容によって変わります。

法律の整理

引き渡した物が契約の内容に合わないときは、売主は契約不適合責任を負います(民法の第562条以下)。買主は、追完の請求、代金の減額、損害賠償、契約の解除ができます。ただし、買主は、不適合を知ってから1年以内に売主へ通知する必要があります。商人どうしの売買では、受領後の検査と通知の義務が、商法の第526条でさらに厳しく定められています。

民法の第562条は、第1項で、品質などが契約の内容に適合しないとき、買主は「目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」と定めます。同じ項のただし書で、売主は、買主に不相当な負担を課さないときは、請求と異なる方法で追完できます。第2項は、不適合が買主の責めに帰すべき事由によるときは、追完を請求できないとしています。

第563条は代金の減額を定めます。第564条は、第415条による損害賠償と、第541条・第542条による解除を妨げないとしています。第566条は、買主が「その不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないとき」は、追完や損害賠償などを請求できないと定めます。

会社が備えること

確認すること

  • 不具合の原因が、仕様、取引先の使い方、自社の製造のどこにあるか
  • 商品を引き渡した時期と、取引先から通知を受けた時期
  • 契約書の品質保証条項、責任の上限、免責の定め
  • PL保険(生産物賠償責任保険)が使えるか

契約書の条項は、取引先のひな形で契約している場合も同じように確認します。ひな形の見方は取引先から契約書のひな形を渡されました。どこを見て、どこを交渉すべきですかで整理しています。契約書が無い場合は契約書を交わさないまま取引を始めてしまいました。契約は成立していますかも参考になります。

対応

対応は、事実確認、暫定対応、責任の範囲の交渉の順に進めます。

  • 事実確認:不具合の内容を聞き取り、現物を引き取って保全します。製造や検査の記録、取引先とのメールも残します。
  • 暫定対応:被害が広がらないよう、代替品の提供や商品の回収を検討します。
  • 責任の範囲の交渉:原因の検証の結果と契約書の定めをもとに、追完・減額・賠償のどれに、どこまで応じるかを話し合います。

現物と記録の保全

不具合のある商品と製造・検査の記録を保全する。
不具合の内容を聞き取り、現物を引き取って保全します。製造や検査の記録、取引先とのメールも残します。

原因を検証する前に、返品や賠償の額を約束することは避けます。保険を使う場合は、保険会社への連絡も早めに済ませます。

原因の検証と契約書

不具合の原因を検証して契約書の責任の範囲を確認する。
原因の検証の結果と契約書の定めをもとに、追完・減額・賠償のどれに、どこまで応じるかを話し合います。

ご相談で伺うこと

  • 取引の契約書、注文書、仕様書
  • 不具合の内容と、取引先からの連絡の経緯(日時と方法)
  • 納品した時期と、取引先での検査の状況
  • 自社で調べた原因と、保全している現物・記録
  • 加入している保険の内容

出典