何が問題になるか
場面
私傷病で休職している社員から、復職したいとの申出がありました。主治医の「就労可能」とする診断書が添えられています。一方で、上司は休職前の業務を任せられるかどうかに不安を感じています。診断書だけで復職を認めてよいかという相談です。
法律の整理
復職を認めるかどうかは会社が判断します。会社は、主治医の診断書に加えて、産業医または会社指定医の意見を求めることができます。その根拠は就業規則に置きます。
復職の基準は、原則として、休職前の業務に通常どおり就けることです。ただし、裁判例の考え方では、短期間で回復が見込まれるときは、軽減業務での復帰も検討します。
復職を認めない場合、休職期間満了による退職扱いは、就業規則の定めに従います。
根拠となる条文は次のとおりです。労働契約法第7条は、合理的な労働条件が定められた就業規則を労働者に周知させていた場合には、「労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする」と定めています。医師の意見を求める根拠を就業規則に置くのは、このためです。
第5条は、使用者は、労働者が「生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定めています。復職の判断では、この規定も踏まえます。
第3条は、第5項で、労働者と使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては「それを濫用することがあってはならない」と定めています。
厚生労働省は「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を公表しています。メンタルヘルス不調による休職では、社内の手順を決めるときの参考になります。
診断書に加えて医師の意見を求める

会社が備えること
確認すること
- 就業規則の休職・復職の定め(誰が復職を判断するか、休職期間、期間満了時の扱い)
- 会社が指定する医師の受診を求める根拠が、就業規則にあるか
- 主治医の診断書が、どの業務を前提に就労可能としているか
- 休職前の業務の内容と、軽減業務を用意できるか
- 試し出勤・リハビリ出勤の制度があるか、その間の賃金と労災の扱い
- 休職中に傷病手当金を受けているか(傷病手当金の支給期間の扱い)
対応
- 就業規則に、復職は会社が判断すること、産業医または会社指定医の意見を求められることを定めます。
- 申出を受けたら、主治医の診断書を受け取り、産業医または会社指定医の意見を求めます。
- 休職前の業務に通常どおり就けるかを確認します。短期間で回復が見込まれるときは、軽減業務での復帰も検討します。
- 試し出勤・リハビリ出勤を行う場合は、賃金を払うかどうか、労災の扱いをどうするかを先に決めておきます。
- 本人との面談の内容は、日付ごとに記録に残します。
- 復職を認めない場合は、就業規則の定めに従って、休職期間満了による退職扱いを進めます。
軽減業務での復帰も検討する

ご相談で伺うこと
- 就業規則の休職・復職の条文
- 主治医の診断書の内容と、産業医の選任の有無
- 休職前の業務の内容と、配置できる業務
- 休職に至った経緯と、休職期間の満了日
- これまでの面談の記録