何が問題になるか
場面
従業員の代わりに、退職代行の業者から電話やメールが届くことがあります。本人が退職すること、今後の連絡は業者宛てにしてほしいことを伝える内容です。会社としては、本人から直接事情を聞きたいと考えます。業者が、有給休暇の消化や退職金について条件を示してくることもあります。
法律の整理
退職の意思表示は、本人の権利です。期間の定めのない雇用は、本人からの退職の申入れの後、民法が定める期間が過ぎると終了します。会社は、これを拒めません。民法は、第3編の第8節「雇用」(第623条から第631条)で、雇用の終わり方を定めています。
弁護士でない退職代行業者ができるのは、本人の意思を会社に伝えることだけです。有給休暇の消化や退職金について交渉することは非弁行為にあたり、業者にはできません。弁護士による退職代行であれば、交渉ができます。
弁護士法第3条は、第1項で、弁護士は「当事者その他関係人の依頼」によって「一般の法律事務を行うことを職務とする」と定めています。同法は、第9章を「法律事務の取扱いに関する取締り」とし、第72条から第74条を置いています。
引継ぎが足りないまま辞めたことを理由に本人へ損害賠償を求めても、現実には認められにくいものです。
会社が備えること
確認すること
- 連絡してきた相手が弁護士か、弁護士でない業者か
- 本人の雇用に期間の定めがあるか
- 本人が希望する退職日と、有給休暇の残日数
- 会社が貸している物(パソコン、社員証、鍵など)の有無
- 業者の連絡が、意思の伝達だけか、条件の交渉を含むか
伝達か交渉かを確かめる

対応
- 連絡してきた相手が弁護士か業者かを確かめます。
- 退職日、有給休暇の残日数、貸与品の返却の方法、離職票の手続を書面にまとめます。
- その書面を、業者経由で本人に伝えます。
- 本人への直接の連絡は、控えるのが無難です。
- 弁護士でない業者が条件の話を持ち出してきたときは、交渉の相手にせず、会社が整理した内容を書面で示します。
本人から有給休暇の買取りを求められたときは、退職する従業員が、残った有給休暇の買取りを求めてきたもご覧ください。
返却と手続を整理

ご相談で伺うこと
- 退職代行から届いた連絡の内容(書面、メール、通話の記録など)
- 就業規則の退職に関する定めと、雇用契約書
- 本人の有給休暇の残日数と、退職金規程の有無
- 貸与品の一覧と、引継ぎが必要な業務の範囲
- 業者との間で、すでにやり取りした内容