何が問題になるか
場面
1年契約の契約社員を、何度か更新してきました。次の契約期間の満了で、更新せずに終わりにしたいと考えています。期間の定めがあるので、満了すれば当然に終わると考えがちです。しかし、これまでの更新の経緯によっては、更新しないこと(雇止め)が認められない場合があります。
これまでの更新の経緯

法律の整理
更新を繰り返して無期契約と変わらない状態になっている場合や、社員が更新を期待することに合理的な理由がある場合は、雇止めにも解雇と同じように、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。
根拠は労働契約法第19条です。第19条は、更新しないことが、無期契約の社員の解雇と「社会通念上同視できると認められること」(第1号)、または更新されると「期待することについて合理的な理由がある」こと(第2号)に当たる場合を定めています。この場合に、更新の拒絶が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、従前と同じ労働条件で更新を承諾したものとみなされます。第16条の解雇の規定と同じ枠組みです。
また、同じ会社との有期契約が更新されて通算5年を超えると、社員に無期転換の申込権が生じます(第18条)。厚生労働省は、無期転換を免れる意図で申込権が生じる前に雇止めをすることは、第18条の趣旨に「照らして望ましいものではありません」としています。更新上限を後から一方的に設けても、「雇止めをすることは許されない場合もあります」とも述べています。現在は、更新上限と、無期転換の申込の機会を明示することが義務になっています。
さらに、更新を一定の回数以上重ねた社員や、1年を超えて継続して雇っている社員を雇止めするときは、告示により、契約期間の満了前に予告することが求められています。予告の時期は告示で確認してください。
会社が備えること
確認すること
- これまでの更新の回数と、通算の契約期間
- 更新の手続が形だけになっていないか
- 面談などで、更新を期待させる言動をしていないか
- 契約書に、更新の有無と更新の判断基準が書かれているか
- 通算5年を超える時期と、更新上限の定めの有無
対応
更新のたびに、担当業務の内容と評価を記録に残します。雇止めの理由を説明するとき、この記録が判断の材料になります。契約書には、更新の判断基準を具体的に書きます。更新上限を設ける場合は、契約の締結や更新の時点で明示します。明示する項目は労働条件明示のルールが変わりましたで整理しています。雇止めを決めたときは、告示に沿って満了前に予告します。
更新の判断基準を具体的に書く

ご相談で伺うこと
- 契約書と、有期契約社員に適用する就業規則
- 更新の経緯と、更新ごとの面談の記録
- 担当業務の内容と、正社員の業務との違い
- 雇止めを考える理由と、それを示す記録
- 通算の契約期間と、無期転換の申込の有無