何が変わったか
教育訓練休暇給付金という給付
雇用保険法の失業等給付に、教育訓練休暇給付金が加わりました。同法第10条第5項は、教育訓練給付として、教育訓練給付金と並んで教育訓練休暇給付金を掲げています。
厚生労働省の案内では、労働者が離職することなく教育訓練に専念するため、自発的に休暇を取得して仕事から離れる場合の給付と説明されています。失業給付(基本手当)に相当する給付として、賃金の一定割合が支給されます。訓練・休暇期間中の生活費を保障する趣旨です。
離職することなく教育訓練に専念

給付を受けられる場合
厚生労働省の制度概要では、次の場合に支給が受けられるとされています。
- 雇用保険の一般被保険者であること
- 就業規則等に基づく休暇であること
- 連続した30日以上の無給の教育訓練休暇であること
このほかにも一定の条件があります。支給要件の詳細は、厚生労働省のパンフレット等で示されています。
労働者向けの案内には、受給するには事業主と合意した上で休暇を取得する必要があると書かれています。申請するのは労働者ですが、会社の制度と会社との合意が前提になります。
事業主との合意と社内制度

会社が備えること
会社が整える社内制度
事業主向けの案内では、労働協約や就業規則等に定められた社内制度に基づいて休暇を取得した場合に給付を受けられると説明されています。従業員が制度を利用しようとする場合は、事業主の協力・対応が必要とされています。会社の側では、次の点を確認します。
- 就業規則や労働協約に、教育訓練のための休暇の定めがあるか
- 休暇中の賃金の扱いと、休暇の期間をどう定めているか
- 従業員からの申出を受けて合意するまでの手順があるか
厚生労働省は、教育訓練に活用できる休暇・休職制度を整備している企業の事例集も公表しています。規程を作るときの参考資料になります。
休暇が始まった後の手続
事業主向けの案内では、教育訓練休暇の開始後に、賃金支払状況をハローワークに届け出る必要があるとされています。事業主が使う様式として「雇用保険被保険者教育訓練休暇開始時賃金月額証明書(様式第10号の2の2)」が掲載されています。
労働者が使う教育訓練休暇給付金支給申請書は、教育訓練休暇の開始後に事業主経由で交付されると案内されています。このほか、教育訓練休暇取得確認票や、期間を変更する場合の教育訓練休暇変更確認票の様式もあります。
手続の窓口も分かれています。事業主の手続は事業所を管轄するハローワーク、労働者の手続は住居所を管轄するハローワークです。
手続と注意点
証明と説明で気をつけること
雇用保険法第10条の4第2項は、事業主が偽りの届出、報告又は証明をしたため失業等給付が支給されたときの定めです。この場合、政府は、事業主に対し、支給を受けた者と連帯して納付することを命ずることができるとされています。賃金や休暇の証明は、実際の支払状況と照らして作成することが求められます。
また、同法第14条は、被保険者期間の計算の中で、教育訓練休暇給付金の支給を受けたことがある場合について定めています。その場合、休暇開始日前の被保険者であった期間は、被保険者期間に含めないとされています。被保険者期間は、基本手当の受給資格(同法第13条)で用いられる期間です。従業員に制度を説明する際には、この点も資料で確認しておきます。
なお、雇用保険の適用拡大は、この給付とは施行日が異なります。内容は雇用保険の適用拡大のコラムで扱っています。