何が変わったか

ハンドブックが示す管理の進め方

経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック」は、会社が持つ秘密情報を守るための進め方を段階的に示した資料です。扱う範囲は、秘密情報の洗い出し、分類、アクセス制限、退職時の対応、漏えい時の対応です。顧客情報や技術情報を持つ事業者であれば、業種や規模を問わず参照できます。

秘密情報の洗い出しと分類

担当者が顧客資料と技術資料を洗い出し、秘密として扱うものを分類する場面。
扱う範囲は、秘密情報の洗い出し、分類、アクセス制限、退職時の対応、漏えい時の対応です。

土台になる営業秘密の定義

ハンドブックの土台には、不正競争防止法の「営業秘密」の定義があります。同法第2条第6項は、営業秘密を次のように定めています。

秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの

この定義のうち「秘密として管理されている」という部分は、秘密管理性と呼ばれます。経済産業省の営業秘密管理指針は、この要件についての考え方を示しています。ハンドブックは、秘密管理性を満たすための最低限の措置として、秘密表示、アクセス制限、誓約を具体的に示しています。

秘密表示とアクセス制限

秘密情報を鍵のある保管場所に分け、閲覧できる人を確認する場面。
ハンドブックは、秘密管理性を満たすための最低限の措置として、秘密表示、アクセス制限、誓約を具体的に示しています。

同法は、営業秘密を不正に取得し、使用し、開示する行為などを、第2条第1項第4号から第9号までに「不正競争」として掲げています。第3条は侵害の停止又は予防の請求を、第4条は損害賠償を定めています。営業秘密とデータの保護に関する改正は、改正不正競争防止法のコラムで紹介しています。

会社が備えること

ハンドブックの流れに沿うと、社内の運用は次の項目で点検できます。

  • 洗い出し:社内にある顧客情報や技術情報を一覧にします。
  • 分類:一覧にした情報を、秘密として扱うものとそれ以外に分けます。
  • 秘密表示:秘密として扱う書類やデータに、その旨の表示があるかを見ます。
  • アクセス制限:情報に触れられる社員の範囲と、閲覧の権限を見直します。
  • 誓約:社員から秘密を守る旨の誓約を受けているかを見ます。
  • 退職時の対応:退職する社員との間で、秘密情報の扱いを確認する手順を決めておきます。
  • 漏えい時の対応:漏えいが分かったときの社内の連絡と対応の手順を決めておきます。

中小企業向けには、経済産業省の「秘密情報管理の手引き」もあります。手引きはハンドブックと併用できます。手引きは、守るべき情報を絞って選び、その情報から管理を始める形を示しています。すべての情報を一度に管理しようとせず、優先する情報から始める考え方です。

注意点

秘密表示やアクセス制限などの措置は、法律上の「秘密として管理されている」に当たるかどうかに関わります。ただし、個々の情報が営業秘密に当たるかどうかは、管理の実態を含む個別の事情によって判断されます。

同法は、営業秘密とは別に「限定提供データ」も定めています。第2条第7項は、これを次のように定めています。

業として特定の者に提供する情報として電磁的方法(中略)により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報(営業秘密を除く。)

データを外部に提供する事業では、営業秘密の定義とあわせてこの定義も参照できます。

就業規則や秘密保持契約の文言が、ハンドブックの措置と合っているかも点検の項目になります。同法には、第5章に罰則の定め(第21条・第22条)も置かれています。

出典