何が変わったか

2022年7月8日の改定で加わったこと

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は、2018年1月に策定されました。その後、2020年9月と2022年7月に改定されています。最新の版は、2022年7月8日改定版として公表されています。

2022年7月の改定の目的について、厚生労働省は「副業・兼業を希望する労働者が、適切な職業選択を通じ、多様なキャリア形成を図っていくことを促進するため」と説明しています。ガイドラインの目次では、企業の対応の項目に「副業・兼業に関する情報の公表について」が置かれています。

基本的な考え方の部分には、次の記述があります。

  • 「企業の副業・兼業の取組を公表することにより、労働者の職業選択を通じて、多様なキャリア形成を促進することが望ましい」

補足資料のQ&Aにも、2022年7月に「副業・兼業に関する情報の公表」の項目が追加されました(2022年7月13日改定版)。ガイドラインは企業の対応を示しています。そのため、副業・兼業を認めている会社にも、これから検討する会社にも関係します。

会社が備えること

副業・兼業の方針と公表

ガイドラインは、裁判例を踏まえ「原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である」としています。禁止や一律許可制にしている企業については、自社での業務に支障をもたらすものかどうかを「今一度精査」するよう求めています。制限できる場合としては、労務提供上の支障がある場合、業務上の秘密が漏洩する場合、競業により自社の利益が害される場合、自社の名誉や信用を損なう行為などがある場合が挙げられています。社員から許可を求められたときの考え方は、社員から副業の許可を求められました。断れますかで取り上げています。

届出と確認の仕組み

ガイドラインでは、届出制など、副業・兼業の有無・内容を確認するための仕組みを設けておくことが望ましいとされています。確認する事項として、副業先の事業内容、そこで従事する業務内容、労働時間通算の対象となるか否かが挙げられています。

副業・兼業の有無・内容を確認

従業員が副業の仕事で使う道具と届出書を示し、人事担当者が業務内容を確かめる場面。
副業先の事業内容、業務内容、労働時間通算の対象となるかを確認します。

労働時間の通算と管理モデル

労働基準法(労基法)第38条第1項は、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と定めています。ガイドラインによると、法定労働時間(労基法第32条)と、時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満、複数月平均80時間以内の要件は通算されます。一方で、休憩・休日・年次有給休暇は通算されないとされています。

申告や通算管理の手続の負担を軽くする方法として、「管理モデル」も示されています。これは、副業・兼業の開始前に、それぞれの使用者の事業場における労働時間の上限を設定し、各使用者がその範囲内で労働させる方法です。厚生労働省は、管理モデル導入(通知)様式例も公表しています。

管理モデルで労働時間の上限を設定

担当者が本業と副業の勤務予定を並べ、管理モデルの労働時間の上限を確かめる場面。
副業・兼業の開始前に、それぞれの使用者の事業場における労働時間の上限を設定します。

注意点

  • 副業・兼業についての相談や自己申告等を行ったことを理由に、不利益な取扱いをすることはできないとされています。
  • 副業・兼業を行う労働者を使用する全ての使用者が、安全配慮義務を負っているとされています。
  • 使用者は、労働安全衛生法第66条等に基づき、健康診断やストレスチェック等の健康確保措置を実施しなければならないとされています。
  • 労災保険の給付と、雇用保険・厚生年金保険・健康保険については、ガイドラインの「副業・兼業に関わるその他の制度について」の項目にまとめられています。
  • 管理モデルで設定した労働時間の範囲を超えて労働させた場合、その使用者が労働時間通算に関する法違反を問われ得るとされています。

出典