何が変わったか

施行後の運用状況

フリーランス・事業者間取引適正化等法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律、令和5年法律第25号)は、2024年11月1日に施行されました。個人で働くフリーランスに業務を委託する発注事業者に、取引条件の明示、給付を受領した日から原則60日以内の報酬支払、ハラスメント対策のための体制整備などを義務づけています。法の概要はフリーランス法の解説にまとめています。

取引の適正化に係る規定は主に公正取引委員会と中小企業庁が、就業環境の整備に係る規定は主に厚生労働省が執行を担います。公正取引委員会は2026年6月10日に、令和7年度の運用状況を公表しました。

公表された令和7年度の件数

公正取引委員会の公表資料には、次の件数が示されています。

  • 違反の申出は604件で、業務委託事業者等からの自発的申出は2件です。
  • 新規に着手した違反被疑事件は1,626件で、処理件数は1,597件です。
  • このうち1,552件で、法第8条に基づく勧告または法第22条に基づく指導を行っています。勧告は10件、指導は1,542件です。
  • 特定受託事業者が被った不利益について、総額1734万円の原状回復が行われました。

業種別では、情報通信業が575件(37.0%)で最も多くなっています。学術研究、専門・技術サービス業が326件(21.0%)、運輸業、郵便業が135件(8.7%)と続きます。

違反行為の類型

措置件数を違反行為の類型別にみると、全体で2,727件です。

  • 期日における報酬の支払義務違反:1,135件(41.6%)
  • 取引条件の明示義務違反:1,126件(41.3%)
  • 買いたたき:250件(9.2%)

資料は、これらの類型で全体の9割超を占めるとしています。取引条件の明示義務違反には、取引条件の不明示のほか、一部の事項の明示不備も含まれます。勧告10件の内訳でも、取引条件の明示義務違反が10件、期日における報酬支払義務違反が9件でした。

取引条件の明示事項を点検

発注者が業務を示す見本と発注書をそろえて、フリーランスに取引条件を示す場面。
発注書・契約書に、明示事項がそろっているかを点検します。

募集情報とハラスメント対策

厚生労働省は、SNS等で募集するときの表示について注意を促しています。募集を行う者の氏名または名称、住所(所在地)、連絡先、業務の内容、業務に従事する場所、報酬を欠く募集情報は「誤解を生じさせる表示」に当たり、法第12条違反になるとしています。

厚生労働省は、労働局における指導等事例や、ハラスメント対策の体制整備に当たっての対応例も公表しています。

会社が備えること

委託する側で点検すること

公表資料で挙げられた類型をもとに、次の点を点検します。

  • 発注書・契約書:法第3条第1項の明示事項がそろっているか。明示事項を定める公正取引委員会規則は改正され(令和7年公正取引委員会規則第11号)、2026年1月1日に施行されています。
  • 支払サイト:給付を受領した日から原則60日以内に支払う設定か。
  • 募集文面:上の6項目を記載しているか。
  • 相談窓口:ハラスメント対策の体制が整っているか。

給付を受領した日から支払期日を確認

成果物を受け取った担当者が受領の記録と支払予定を確認する場面。
給付を受領した日から原則60日以内に支払う設定かを点検します。

注意点

フリーランスは、発注事業者に法違反と思われる行為があれば、公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省に申し出ることができます。

形式的には業務委託契約であっても、実質的に労働基準法上の労働者と判断される場合は、労働基準関係法令が適用され、本法は適用されません。

出典