何が変わったか

改正の施行日と対象になる事業者

消費者契約法(平成12年法律第61号)は、2001年4月1日に施行された法律です。消費者と事業者の間には、情報の質・量や交渉力に格差があります。この法律は、その状況を踏まえて消費者の利益を守るためのものです。不当な勧誘による契約の取消しと、不当な契約条項の無効等を定めています。

今回の改正は、「消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律」(令和4年法律第59号)によるものです。この法律は、2023年6月1日に施行されました。ただし、適格消費者団体の事務に関する改正規定と、消費者裁判手続特例法に関する改正規定は、2023年10月1日に施行されています。

消費者と契約する事業者は、BtoCの取引について、改正の内容を確認する必要があります。

解約料の算定根拠を説明する努力義務

改正により、解約料の算定根拠の概要を説明する努力義務が設けられました。あわせて、適格消費者団体の要請に応じて、算定根拠を説明する努力義務も設けられています。

いずれも努力義務です。ただ、説明の準備がなければ、求めに応じることができません。会社は、次の点を確認します。

  • 契約書や利用規約に、解約料やキャンセル料の定めがあるか
  • 解約料の金額を、どのような考え方で定めたか
  • 算定根拠の概要を、社内で説明できる形にまとめているか
  • 適格消費者団体から要請を受けたときの窓口と手順

料金を決めた部署と、顧客に対応する部署で、同じ情報を持っておくことが大切です。

算定根拠の概要を説明

顧客対応の担当者が、資料を示して解約料の考え方を説明する場面。
算定根拠の概要を、社内で説明できる形にまとめているか

会社が備えること

免責条項と解除権放棄条項の見直し

事業者の損害賠償責任を免除する条項のうち、軽過失による場合のみ免責されることを明らかにしていない条項は、無効とされました。免責条項や解除権放棄条項などについて、いわゆる「サルベージ条項」への対応も、改正の内容に含まれています。

会社は、次の点を確認します。

  • 免責条項と解除権放棄条項が、どの書面のどこにあるか
  • 軽過失による場合のみ免責であることが、条項の文言から読み取れるか
  • ウェブサイトの規約と、紙の契約書の内容がそろっているか

条項の見直しは、法務の担当者だけで進めず、規約やひな形を管理する部署とも共有します。ネット通販では、規約の表示方法にも別のルールがあります。ネット通販の申込み画面の表示義務もあわせて確認します。

規約と契約書の内容を確認

担当者がウェブサイトの規約と紙の契約書を見比べる場面。
ウェブサイトの規約と、紙の契約書の内容がそろっているか

勧誘の場面で追加された困惑類型

消費者庁の説明では、2022年の法改正で、取り消しうる不当な勧誘行為が追加されました。消費者契約法は、不当な勧誘による契約の取消しを定めています。今回の改正では、その対象となる困惑類型が追加されています。

店頭、訪問、電話、ウェブなど、勧誘の場面ごとに、営業のマニュアルや説明の手順を見直します。社内研修で、追加された類型を営業の担当者に伝えることも、確認の項目になります。

注意点

  • 努力義務の改正と、条項が無効になる改正では、性質が異なります。どちらに当たるかを分けて整理します。
  • 個別の条項や勧誘が改正後のルールに当たるかは、契約の内容や事情によって異なります。条文と消費者庁の資料で確認します。
  • 消費者庁は、改正法の概要、要綱、新旧対照条文、逐条解説を公表しています。
  • 広告や表示については、景品表示法の改正も関係します。景品表示法の改正で、違反の代償が重くなっていますも参照してください。

出典