何が変わったか
2024年4月1日から、義務の対象物質が増えました
労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(令和4年政令第51号)により、令別表第9に234物質が追加されました。この追加は2024年4月1日から施行されています。
令別表第9に載った物質は、次の義務の対象です。
- 法第57条第1項によるラベル表示
- 法第57条の2第1項によるSDS(安全データシート)の交付
- 法第57条の3第1項によるリスクアセスメントの実施等
施行通達(令和4年2月24日付け基発0224第1号)は、改正後の表示及び通知対象物の数を903物質(令別表第3第1号の7物質を含む)としています。追加された物質は、国がGHSに基づく分類を行った物質のうち、発がん性、生殖細胞変異原性、生殖毒性、急性毒性のいずれかで区分1相当の有害性を持つものから選ばれています。
自律的な管理へ切り替わった背景
厚生労働省の資料は、休業4日以上の化学物質による労働災害の原因物質の多くが、特定化学物質障害予防規則などの特別規則の対象外だったと説明しています。労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号)は、こうした物質を主な対象としています。事業者がリスクアセスメントの結果に基づき、ばく露防止の措置を講じる制度を導入するものです。この省令の施行日は公布日で、一部は2023年4月1日または2024年4月1日の施行とされています。
会社が備えること
事業場で確認すること
資料に示された改正のポイントのうち、会社の体制に関わるものは次のとおりです。
- リスクアセスメント対象物を製造、取扱い又は譲渡提供する事業場ごとに、化学物質管理者を選任すること
- 労働者がばく露される程度を最小限度にすること。一部の物質は厚生労働大臣が定める濃度基準以下とすること
- 皮膚又は眼に障害を与える化学物質を扱うときは、適切な保護具を使用させること
- 衛生委員会で、自律的な管理の実施状況を調査審議すること
- 雇入れ時等の教育を全業種で実施すること
自社で扱う製品のSDSを集め、成分に令別表第9の物質が含まれるかを確かめることが出発点になります。製剤等は、その物質の含有量が裾切り値未満であれば、表示と通知の対象になりません。また、厚生労働省は、作業記録等の30年間保存が必要ながん原性物質を定める告示を行ったと発表しています(令和4年12月26日発表)。
SDSと扱う製品を確認

業務用の製品も対象になり得ます
ラベル表示とSDS交付の義務から除かれる「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」の範囲について、施行通達は関係通達を改めています。いわゆる業務用洗剤等の業務に使用することが想定されている製品は、一般消費者も入手可能な方法で譲渡又は提供されていても、これに当たらないとされています。清掃や整備の現場で使う製品も、確認の対象から外さないことが大切です。
清掃や整備の現場で使う製品も確認

注意点
経過措置と周辺の改正
- 追加された物のうち、改正政令の施行日の時点で現に存するものは、法第57条第1項の表示の規定を2025年3月31日まで適用しない経過措置がありました。
- 法第60条の職長等に対する安全衛生教育の対象業種に、食料品製造業と、新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業が加わりました(令第19条)。
- 通知対象物を製造し、又は取り扱う設備が、注文者が法第31条の2の措置を講じる設備の範囲に加わりました(令第9条の3)。設備の改造、修理、清掃等の作業を請け負わせる場面が想定されています。
SDSを譲渡・提供する側の義務については、化学物質のSDS通知の罰則を扱ったコラムでも紹介しています。