こんな場面
退職した営業担当者の転職先から、自社の顧客に営業の連絡が入っている。退職の直前に、顧客名簿のファイルが私用のメールアドレスへ送られていたことが分かった。退職時に秘密保持の誓約書を取っているが、何を求められるのかが分からない。こうした場面の整理です。
まず確認すること
- 持ち出された疑いのある情報の範囲(顧客名・連絡先・取引条件など)
- その情報を見られる人を限っていたか、「マル秘」などの表示があったか
- 就業規則・秘密保持の誓約書に、在職中と退職後の秘密保持の定めがあるか
- メールの送信記録・ファイルのアクセス記録など、持ち出しを示す資料
法律の整理
不正競争防止法第2条第6項は、営業秘密を「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と定義しています。経済産業省の営業秘密管理指針は、この3つを秘密管理性・有用性・非公知性の要件とし、その全てを満たすことが法に基づく保護を受けるために必要になると説明しています。
同法第2条第1項第7号は、営業秘密保有者からその営業秘密を示された場合に、不正の利益を得る目的で、またはその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、または開示する行為を、不正競争の1つとしています。不正競争によって営業上の利益を侵害され、または侵害されるおそれがある者は、侵害の停止または予防を請求することができます(第3条第1項)。故意または過失による侵害については、損害賠償の定めがあります(第4条)。
指針は、紙媒体の秘密管理の方法の例として、秘密情報が記載された文書に「マル秘」など秘密であることを表示することを挙げています。
会社が最初にすること
持ち出された疑いのある情報と、その管理の状況を示す資料を集めます。社内のアクセス記録やメールの記録には、保存期間を過ぎると消えるものがあるため、先に保全します。退職者や転職先に連絡する前に、どの情報が、どの経路で、いつ持ち出されたかを整理します。あわせて、在職中の従業員の情報の扱いと、退職時の手続を見直します。
ご相談で伺うこと
- 持ち出された疑いのある情報の内容と、社内での管理の方法
- 持ち出しに気づいた経緯と、手元にある記録
- 就業規則・誓約書の内容と、退職者との間で交わした書面
- 顧客への影響と、転職先の会社について分かっていること