何が問題になるか
場面
取引を終えた顧客から、「私の情報をすべて消してほしい」と求められました。社内のシステムには、会員登録の情報、購入の履歴、問い合わせの記録が残っています。担当者は、求めどおりにすべて消すべきか、断ってよいのかを判断できずにいます。請求は、本人を名乗る人から電話やメールで届いています。
法律の整理
本人には、開示・訂正・利用停止・消去を求める権利があります。ただし、会社が消去に応じる義務を負うのは、法律の定める場合に限られます。具体的には、目的外に利用している場合、不正に取得した場合、利用する必要がなくなった場合などです。すべて消すよう求められても、すべてを消す義務が当然に生じるわけではありません。
契約の履行に必要な情報や、法令上の保存義務がある帳簿・取引記録は、消去しません。その場合は、消去しない理由を本人に説明します。
根拠となる個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)は、第2条は、第4項で、「本人」を「個人情報によって識別される特定の個人をいう」と定めています。また、第16条は、第4項で、「保有個人データ」を、会社が「開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データ」と定めています。手元の顧客の情報がこれに当たるかを、情報ごとに確認します。
消去する情報と消去しない情報を分ける

会社が備えること
確認すること
- 請求しているのが本人か、代理人か
- 消してほしい情報の範囲(連絡先だけか、取引の記録まで含むか)
- 消してほしい理由(広告のメールを止めたい、不正に取得されたと考えている、など)
- その情報を今も使う目的があるか
- 契約の履行中か、帳簿や取引記録として保存する義務があるか
- 社内に請求への対応手順があるか
対応
- 請求の窓口を決め、本人確認の方法を定めます。
- 回答期限の目安と、手数料を取るかどうかを手順に書きます。
- 請求の理由を聞き、ダイレクトメールの停止など、本人の目的に沿う対応を先に検討します。
- 情報ごとに、利用目的・取得の経緯・保存義務の有無を確認します。
- 消去する情報と消去しない情報を分け、消去しない情報は理由を書面などで説明します。
- 対応の経過を記録に残します。
本人の目的に沿う対応を検討する

ご相談で伺うこと
- 請求の内容と、届いた経緯(電話・メール・書面)
- 対象の情報の種類と保存場所(システム、紙の台帳、委託先)
- プライバシーポリシーに書いた利用目的
- 帳簿や取引記録の保存についての社内のルール
- 本人とのこれまでのやり取り