何が変わるか

会社の規模による義務の違い

  • 常時使用する労働者が300人超 従事者の指定、内部通報窓口・規程等の体制整備が義務です。これは既にある義務で、改正後の周知事項等に合わせて見直します。
  • 300人以下 従事者の指定・体制整備は努力義務です。小規模だから通報者を保護しなくてよいという意味ではありません。
  • 規模を問わず 保護要件を満たす公益通報を理由とする解雇等は禁止です。改正では正当な理由のない通報妨害・通報者探索も禁止されます。

保護されるかは、通報者、対象事実、通報先等の要件によります。単なる社内の苦情すべてが公益通報となるわけではありませんが、別の法令で保護される場合もあります。

保護と抑止が強化される点

  • フリーランスも保護対象に フリーランス法の定義に該当する個人や1人法人の代表者、委託関係終了後1年以内の者が加わります。
  • 解雇・懲戒の理由を推定 原則として通報後1年以内の解雇・懲戒は、通報を理由とするものと推定されます。外部通報を知って処分した場合は、事業者が知った日から数えます。
  • 解雇・懲戒への刑事罰 公益通報を理由に行った者に6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、法人に3,000万円以下の罰金が設けられます。
  • 従事者指定の実効性を強化 指定義務のある事業者への立入検査、勧告に従わない場合の命令と命令違反の罰則等が新設されます。

推定規定は民事訴訟上の立証責任に関するもので、刑事罰が自動的に成立する制度ではありません。また、1年経過後も通報を理由とした不利益取扱いは禁止です。

会社が備えること

通報情報と判断の経路を整える

  1. 受付と情報管理を定める 従事者を指定し、書面等で本人に明示します。誰が通報者を特定する情報を見るかを絞り、窓口と利用方法を制度を利用できる人に周知します。
  2. 利害関係者を調査から外す 通報対象となった上司・部門が自ら調査を指揮しないようにします。経営幹部が関わる案件は独立性を確保する経路を用意します。
  3. 是正と不利益の有無を確認する 調査・是正・結果通知を記録し、通報後の人事や委託契約の変更を点検します。通報者探しや口止めにつながる対応をしません。

従事者には通報者を特定させる情報の守秘義務があります。例えば、調査のための聞き取りでも、共有する資料や質問から誰が通報したか推測されないかを確認します。

通報の対象者に、調査を任せない

通報者
通報
通報窓口受付・情報管理
通報者を特定させる情報扱う人・共有範囲を限定
必要な情報
独立した担当者調査・是正の判断
通報対象の上司・部門等、独立した調査担当者
通報対象の上司が調査を指示する役割から分離され、別の担当者が資料を確認し、自分で記録する場面対象者を、調査・是正の判断に関与させない
通報者
支障のない範囲で結果を通知
窓口・調査担当
公正さを確保する対応例です。図の仕切りは、調査判断への関与を分けることを表します。関係者への必要な事実確認まで避ける趣旨ではありません。通知では秘密・プライバシーに配慮し、匿名などで通知が困難な場合もあります。

出典