改正で変わる点
公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号)が2025年6月に公布され、2026年12月1日から施行されます。消費者庁は改正の柱として、体制整備の徹底と実効性の向上、公益通報者の範囲の拡大、公益通報を阻害する要因への対処、不利益な取扱いの抑止と救済の強化を挙げています。
推定規定と刑事罰
通報後1年以内に行われた解雇や懲戒処分は、公益通報を理由として行われたものと推定されます。従来は通報が原因であることを通報者の側が立証する必要がありました。推定が働くことで、会社の側が通報以外の理由によることを説明する立場に立ちます。
公益通報を理由として労働者を解雇・懲戒した行為者には6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、法人には3,000万円以下の罰金が科されます。従事者の指定義務についても、勧告に従わない場合の命令と、命令違反に対する30万円以下の罰金が新設されました。
保護される通報者の範囲
保護される公益通報者に、一定のフリーランスが加わります。従来の従業員・役員・退職者に加え、現に業務委託の関係にある個人と、業務委託の関係が終了して1年以内の個人が対象になります。通報を理由とする業務委託契約の解除などが禁止されます。
あわせて、正当な理由のない通報の妨害と、通報者を特定することを目的とする探索が禁止されます。妨害に係る合意等は無効とされます。
体制整備が義務となる事業者
従事者の指定と内部公益通報対応体制の整備が法律上の義務となるのは、常時使用する労働者の数が300人を超える事業者です。300人以下の事業者では努力義務にとどまります。不利益取扱いの禁止と通報妨害の禁止は、事業者の規模を問わず適用されます。
「常時使用する労働者」の数え方は、パートタイム労働者と有期雇用労働者の扱いを含めて確認が要ります。グループ会社を持つ場合は、親会社の窓口を子会社の通報先にできるかを、指針の解説に沿って整理します。
内部通報規程の見直し
公益通報対応業務従事者は、書面により指定して本人に通知する取扱いが求められます。従事者には守秘義務が課され、違反には罰則があります。誰が従事者かが曖昧だと、調査の過程で情報が広がったときに責任の所在が定まりません。
規程には、受付から調査・是正措置・通報者への結果通知までの流れと期限を書きます。通報者の探索や妨害を禁じる条項、不利益取扱いを禁じる条項も加えます。フリーランスが保護の対象に加わるため、業務委託先の個人にも通報窓口の連絡先と利用方法を案内し、委託契約書や発注時の案内にその記載を入れます。受付日、対応者、調査の経過、結果の通知日を残す様式もあわせて整えます。