何が変わったか
2026年5月21日に民事訴訟が全面的にデジタル化されました
民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)は、2022年5月18日に成立し、同月25日に公布されました。この改正は段階的に施行されてきました。2026年5月21日に、改正法が全面施行されています。
裁判所の説明によると、改正民事訴訟法・改正民事訴訟規則により、民事訴訟手続が全面的にデジタル化されました。訴えの提起や裁判書類の送達などを、裁判所のシステムを通じてオンラインで行うことができます。会社が訴訟の原告や被告になる場合も、この仕組みの中で手続が進みます。
これより前に施行された部分は次のとおりです。
- 2023年2月20日:住所、氏名等の秘匿制度の創設
- 2023年3月1日:ウェブ会議・電話会議による弁論準備手続の期日や和解の期日への参加
- 2024年3月1日:ウェブ会議による口頭弁論の期日への参加
会社が備えること
弁護士が代理する場合と会社が自ら手続をする場合
裁判所の説明では、弁護士などの訴訟代理人等について、オンラインによる手続が義務化されています。会社が弁護士に訴訟を依頼すると、訴状や準備書面は裁判所のシステムを通じて提出されることになります。
一方、改正民訴法132条の10第1項に関する説明では、誰でも裁判所のシステムを利用して、オンラインで訴えを提起し、準備書面を提出することができるとされています。資料が義務化の対象として挙げているのは訴訟代理人等です。弁護士に依頼せずに会社自身が手続をする場合、オンラインでの提出を選ぶことができます。
期日については、当事者の一方又は双方がウェブ会議を利用して口頭弁論の期日に参加することができます。
ウェブ会議で期日に参加

裁判所の書類をオンラインで受け取る仕組み
オンラインで送達を受けるには、裁判所のシステムを利用してオンラインで送達を受ける旨を届け出ます(改正民訴法109条の2)。システムを利用するためのアカウント登録等は、裁判所が「mintsについて」で案内しています。
裁判所書記官が裁判書類をシステムにアップロードすると、登録された電子メールアドレスに通知が送られます。送達の効力は、次のうち最も早い時に生じると説明されています。
- 当事者がシステムにサインインして裁判書類を閲覧した時
- 裁判書類をダウンロードした時
- 閲覧又はダウンロードができる旨の通知が発せられた日から1週間を経過した時
書類を開かない場合でも、通知から1週間を経過した時に効力が生じる仕組みです。
手数料の納め方と証拠の出し方
申立手数料は、収入印紙を貼る方法に代わり、原則としてペイジーを利用して現金で納付します。送達のための郵便費用は申立手数料に一本化されました。郵便費用を別に納付する必要はなくなります。
証拠は、書証の写しに代わる画像情報(PDF形式)をオンラインで提出できます。電磁的記録そのものを証拠調べの対象とする規定も新たに設けられました。この場合の複製のファイル形式は、原則としてPDF形式、MP4形式、MP3形式、JPEG形式又はPNG形式とされています。
会社で確認しておくこと
- 裁判所からの通知を受け取る電子メールアドレスと、その確認を担当する人
- 契約書や取引記録を、PDFなどの形式で提出できる状態で保管しているか
- 会社自身が手続をする場合に、アカウント登録等を誰が行うか
通知の確認と取引記録の保管

手続と注意点
施行前の事件と執行手続の扱い
オンラインで訴えを提起したり送達を受けたりできるのは、全面施行以降に提起する訴え等に限られます。全面施行前に提起された訴えは、引き続き書面により審理や送達が行われます。
民事執行手続は、遅くとも2028年6月までに全面デジタル化されるとされています。全面施行の時点では全面デジタル化されていないため、引き続き裁判所に書面で申し立てる必要があります。